『オーストラリアドルへの投資妙味について』

先週4月22日に、アメリカのバイデン米大統領が世界の主要国40カ国の首脳らに呼びかけ、テレビ会議の形式にて「気候変動サミット」が開催されました。

現在中国とアメリカの関係は、南沙諸島への中国の進出、一帯一路政策への批判、香港の統治の実質本土化、台湾に対する帰属権の問題などで、かつて無いほどの緊張感に包まれています。ただし、中国側としても表立ってアメリカとの融和を口にすることは、上記のような中国の掲げる国策に矛盾が生じるため言い出しにくい状態にあります。

しかし、本音としては何とかして新アメリカバイデン政権とのパイプを作りたいと画策をしている状況だと推測されます。その顕著な中国の姿勢が今回のバイデン大統領が呼びかけたテレビ会議の形式での「気候変動サミット」への参加であったと考えられます。この会議の中で、バイデン大統領は地球温暖化対策への早急な対策として、温室効果ガスの排出量を2030年までに2005年と比較して50~52%削減する目標を掲げました。

それに対して中国の習金平国家主席は2060年までに温室効果ガスの排出をゼロとする目標は据え置いたものの、石炭消費量を2030年にかけて徐々に減らす表明をしました。この会議の中で、かなりの緊張度を高めていたアメリカと中国の対立関係が、温室効果ガスの削減という世界最大共通の目標を通じて、両国の協力姿勢が示されました。会議の中では、アメリカのブリンンケン国務長官が、「中国の行動への深い懸念についても話したいと発言しました。

また、中国の楊政治局員は「アメリカが中国の内政に干渉することに断固反対する」発言する両国の対立を露わにする場面も有りました。しかし、習国家主席は「アメリカを含む国際社会と地球環境のために努力したい」と発言し、緊張していた環太平洋諸国との融和の道に自ら関与する姿勢を見せました。

また、アメリカ同盟国の一員でもある日本の菅総理も、同会議にて現行の26%削減(2013年比)との目標を2030年までに46%へと引き上げることを表明しました。

そして、ヨーロッパ諸国では、イギリスは2035年までに78%削減(1990年比)、EU全体としても55%削減(1990年比)を表明、全主要国参加国が大きな削減目標を表明した訳です。

一方、世界の温暖ガス排出国とその割合は、下記の通りであり上位3カ国だけで世界の約半分の量を排出しているのが実態です。

1位 中国 9,057トン 28.0%

2位 アメリカ 4,833トン 15.0%

3 位 インド 2,077トン 6.4%

4 位 ロシア 1,439トン 4.5%

5 位 日本 1,147トン 3.5%

では、どうすれば温室効果ガスの排出を削減できるか。

現実的には何かの有効的な対策を世界的に速やかに実行しなれければ、今回のサミットで掲げた大きな目標の達成は極めて困難な状態だと言えます。

その対策としてざっくりと考えられるのが下記のような項目です。

  • 風力、太陽光、地熱、水力、バイオマスなどを利用した再生可能エネルギーの開発
  • 石油や石炭などの温室効果ガスを排出する資源を利用したエネルギーの削減(中国では石炭火力発電所を燃焼効率の良いLNG火力発電所に建て替えを促進中)
  • 水素、アンモニアなどの温暖化ガスを排出しないエネルギーの製造技術開発の促進と生産設備の大規模建設。
  • EV車、燃料電池車、効率の良い蓄電池の開発と製造(車の他工場や家庭用を含む)
  • カーボーンナノチューブ、セルロースナノファイバーなどの軽量かつ強度の高い素材の開発と自動車素材としての製品への大規模転用。

今回の温暖化防止サミットで各国が掲げたある意味大風呂敷を広げた様に目標をクリアするためには、水素やアンモニアのような新エネルギーの生産設備の開発と大規模生産が可能となる施設の建設が急務の状態です。

そしてその為には、開発に必要な鉄をはじめとした、銅、ニッケル、チタン、ステンレス、アルミニウム等の素材の大規模調達が必須となります。特に鉄の需要は、現在の生産量の100倍の量が必要だと推測されております。鉄や非鉄金属は地下資源であり、その産出国は限られた地域に集中しています。

今回はその世界最大の鉄鉱石生と鉄を製造する原料炭の世界一の生産量を誇るオーストラリアについて、その将来性を記述してみたいと思います。

まず、鉄鉱石の産出量は、世界全体で1,520,000万トンですが、産出国は1位オーストラリア(557427トン、36.6%)、ブラジル(292,778トン、19.2%)、中国(209,311トン、13.7%)と上位3カ国に集中しています。また、世界の鉄鉱石の輸出量は、オーストラリア約1100万トン、ブラジルが500万トンで、ほぼこの2カ国で全世界の輸出量全てを賄っています。

一方、鉄鉱石の輸入国では、中国が世界の約80%を占めその量は1200万トン、次いで日本が約10%で100万トンとなっています。現状でも、中国の経済成長率は、2021年で10%以上と世界一と予測されています。そして、LNG火力発電所の建設や、インフラ整備、自動車生産の為に、鉄を素材とした粗鋼生産量の増加が進んでおり、鉄鉱石の輸入が既に増加しています。

一方、鉄を生産する過程で、コークスと呼ばれる特殊な石炭が使用されますが、その生産量はオーストラリアが世界の88%を占めており、ほぼ寡占状態にあります。中国の石炭の生産は膨大な量を誇っておりますが、コークスのような良質な鉄を生産する為の高品質な石炭は採取出来ず、大部分をオーストラリアから輸入しています。

鉄鉱石価格は、中国の輸入量の増加に比例して、2020年5月から上昇に転じ、4月にトン当たり84.7ドルであった価格は、2021年3月には167.2ドルと約2倍に上昇しています。また、コークスの価格も2020年8月の1トン当たり50ドルから、2021年32月には95ドルへと、こちらも90%の上昇となっております。

これは現在の中国のみの数値です。

しかし、今後の脱酸素社会を目指した世界的な取り組みでは、水素等の新エネルギー生産、EV車・燃料電池車を製造するための設備建設には鉄の大量使用が必須です。また、鉄鉱石を運搬する観点から考えてみても、ブラジルと比較するとオーストラリアは地位的に中国、日本に非常に近いという利点があります。鉄鉱石や原料炭はバラ積み運搬船で運びますが、その運賃指標であるバルチック海運指数(BDI)は、2020年2月10日の1303ポイントから、2021月3月23日には2778ポイントまで大きく上昇しています。

また、ここ数カ月の日本株式市場での業種別の上昇率のトップは海運業となっています。

一方、鉄鉱石の世界2大生産地のブラジルですが、新型コロナウイルスを単なる風邪と揶揄するボルソナル政権への政情不安と、コロナ感染の深刻化に見舞われております。ブラジルの2020年のGDP成長率はマイナス4.1%予測であり、失業率も14%と高水準であり、消費者物価指数は直近2カ月で5.2%と急激なインフレ状態となっています。従って、2020年から高値圏にあるブラジルレアルですが、国家破綻の危険性も十分に考えられ、投資をするにはあまりにリスクが有り過ぎると考えられます。

その点、オーストラリアのコロナ感染対策は世界でも最も進んでいると言われており、また政局も極めて安定しておりブラジルとは比較にならない程の安心感があります。

以上のような観点から、オーストラリアドルはその価値を高めていき、今後息の長い上昇相場が期待されます。

また、オーストラリアドルの長期チャート分析をしてみます。

オーストラリアドルは中国景気がバブル状態であった、2014年11月に102.83円の高値を付けました。そして、その後は中国景気の落ち込みに比例するように、多少の上昇場面は有りましたが、コロナショックによる2020年3月の59.9円を付けるまでほぼ下落の一途でした。

しかしその後は、世界経済が復活し株式市場がV字回復していくのと同様に、オーストラリアドルも上昇に転じ、21年3月14日に85.5円の高値を付けております。ドル円相場がボックス相場のレンジの中で動いているのとは全く違った上昇トレンドを描いて来ているのです。

そして、その後は3月24日に82.4円の安値を付けた後に、短い周期での三角持ち合いを形成しています。特に、アメリカ長期金利の下落を受けてドルが売られた影響もあり、日本ドル円相場と相関するように直近は高値から2円程度下落しております。

しかし、アメリカ経済の高成長、物価上昇傾向により、今後はアメリカ10年物国債の金利は再び2%の方向を目指し、豪ドル円相場もそれにつられて85.5円の直近高値を目指し更新するものと予想されます。また、現在は中国との政治的摩擦により、牛肉やワイン等の関税問題や、中国人観光客の受入が止まっている状態ではあります。しかし、産業の米と言われる鉄の生産の為の、鉄鉱石とコークスの輸出には制限が掛けらないのが現実的だと予想いたします。

以上の観点から、資源国の通貨であるオーストラリアドルは、今年中には90円、中長期的には100円を大きく超えてくると予想致します。またこの相場は、現在は2020年3月から始まった上昇相場の初動の段階に位置しており、今後は10年単位の息の永い上昇大相場が期待される考えております。

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